まいぷれ的 柏レイソル部
ドイツ・ブンデスリーガのハノーファー96への移籍会見
ドイツのハノーファー96への移籍が決まった酒井宏樹選手。淋しい気持ちがいっぱいのまま、移籍会見に行ってきました。 そして、心から応援したい!と思いました。今回は、会見の様子を、入団当時の様子を交えてお届けします。
日立台を目指してボールを蹴ってきた
「子どもの頃から、このスタジアムを目指してボールを蹴っていた」
ドイツ・ブンデスリーガのハノーファー96への移籍が決まった酒井宏樹選手(22)は、日立台でのラストマッチを前に語りました。
小学生の頃にクラブチーム(柏マイティー)に所属、中学にあがって12歳で柏レイソルの下部組織に入り、現在に至るまで黄色いユニフォームを着て育ちました。いわゆる生え抜きの選手です。
それだけに、今回の移籍は「酒井にとっても、レイソルにとっても、とても意義のあること」と、強化部統括ダイレクターの小見幸隆氏は言います。
酒井選手の年代は「黄金世代」と言われ、ユース時代から世界大会に遠征する機会に恵まれました。そんな環境もあってか、「ユースの時から海外のビデオは見ていたし、機会があれば行きたいという気持ちはずっと前からあった」と言います。
小見幸隆強化部統括ダイレクター(左)と
酒井宏樹選手(右)
2012年6月20日、酒井選手のハノーファー移籍会見には、約50名の報道陣が詰めかけ、カンファレンスルームは熱気であふれていました。レイソルの酒井から、オリンピック代表候補の酒井、そして日本代表の酒井まで上り詰めたのだから、注目が集まるのは無理もありません。
「移籍にあたり、快く許可をして話を進めてくれたチームや監督、去年からのオファーを一緒に悩んでくれた代理人、相談に乗ってくれた選手、そういうみなさんのおかげでこの移籍が成立し、感謝しています。レイソルから旅立っていった選手として、新しいチームで活躍することが恩返しだと思っています」と、落ち着いた口調で話す酒井選手を見て、ふと入団当時のことを思い出しました。
近くて遠かった日立台のピッチ
2009年新体制発表会にて
2009年は、レイソルアカデミー(下部組織)からクラブ史上最大となる6名がトップチームに昇格しました。他にも、スペインに渡った指宿洋史選手や他のJリーグクラブに加入した選手もいた世代です。酒井選手は高校3年でトップチームに2種登録、この年、当然のようにトップチームに正式加入しました。
「新体制発表会」の会見室では、同期で固まって緊張した面持ち。「緊張しています。でもサポーターの皆さんが応援してくれてありがたいです」と、小さな声で初々しく答えてくれたのを覚えています。
「自分は守備の選手なんですけど、攻撃が得意なので、攻撃を見てください」。柏市市民文化会館大ホールの壇上で、そのときサポーターに向けたこの言葉を、2年後の2011年シーズンに目の当たりにするとは…。
2010年キックオフパーティーにて
すべてが順風満帆だったわけではありません。
2009年にブラジルへの短期留学をするも、この年の公式戦出場はゼロ、それどころかベンチにさえ入れません。
以前取材した中で、「酒井選手のお兄さんと同級生だから、ユースの頃からずっと応援しています。1日も早く試合に出て欲しいですね。そして初試合の日は、ボクがボールボーイを担当したいんです」と教えてくれたボランティアスタッフさんがいました。そのくらい、日立台のピッチに立つことがまだ遠かった年でした。
2010年、プレシーズンマッチ「ちばぎんカップ」に、酒井選手は先発出場し、プロとして公式戦のデビューを果たしました。フクダ電子アリーナのスタンドから見ても、「緊張している…」と感じたのを思い出します。
直後のキックオフパーティーでお話を伺いました。
「最初は緊張しましたが、その後は冷静になれたと思います。が、試合後に監督から、緊張していたと言われましたね」と、前年より、あきらかに頼もしく、大きな声でコメントをくれるようになっていました。ブラジルへの留学で、「人前に出ても緊張せず、自分のプレーができるようになったと思う」と自己分析。とは言え、「試合前日のほうが緊張するんです。試合前に音楽を聴くと緊張するので、アップでよく動くようにしています。試合に入ってしまえば緊張しません」との一面も。
「レギュラーを勝ち取るというよりは、選手層が厚いので、まずはレギュラー争いに加わって、試合に出ることを目指します」
この年はリーグ戦に9試合出場し、1得点をあげています。183cmの長身でサイドをドリブルで駆け上がると、「ドドドドド」と地響きが聞こえてくるような迫力があり、スタジアムが盛りあがるようになった年でもありました。
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