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柏の葉サイエンスエデュケーションラボ

「駅前出張サイエンスカフェ at 柏の葉2012」開催!

2012/11/04

10月27日(土)、柏の葉キャンパス駅前のUDCKにて、
「駅前出張サイエンスカフェ at 柏の葉2012」が開催されました。

東京大学柏キャンパス一般公開との連動企画で、
「柏の葉サイエンスエデュケーションラボ(KSEL)」が主催しています。
サイエンスカフェとは、科学者と市民が、
お茶を飲みつつ気軽な雰囲気で科学について語り合う場です。

今回のサイエンスカフェのテーマは2つ。
【生物から学ぶ-生物×生活】と【「美しさ」を科学する-数学×脳科学】です。

(1)【生物から学ぶ-生物×生活】

第1部の講師は、西山典秀さん(東京大学大学院 新領域創成科学研究科 先端生命科学専攻 修士2年)と、中島永未里さん・大津彩夏さん(東京理科大学 基礎工学部生物工学科2年)。

動物たちの体毛は環境に適応した構造を持っている、という話から講座はスタート。

ホッキョクグマの体毛は、
保温効果を高めるために、中が空洞になっているそうです。

そのため、ホッキョクグマの毛の色は、実は白ではなく透明で、
光の反射によって白く見えるとのこと。

そして、映画「ラプンツェル」を題材にした人間の髪の毛の話や、
ヤモリの足裏の体毛の吸着力を応用すると、
人間も「スパイダーマン」になることができるかもしれないという、
面白い話を聞くことができました。
中島さん
中島さん
生物の構造や機能を模倣し応用する技術を「バイオミメティクス」といい、現在、ものづくりや医療など、様々な分野で研究が進んでいます。

調べてみると、
ごぼうの実・オナモミ(=ひっつき虫)を応用したマジックテープ・鮫の肌を応用した競泳用の水着・蚊の針を応用した痛くない注射針など、バイオミメティクスは様々な場面で活用されていることがわかります。
西山さん
西山さん
続いて、西山さんによる「ジーンサイレンシング」についてのお話。

子どもの頃から自然に親しむうちに動植物に関心を持つようになり、現在は「植物ウイルス」について研究している西山さん。

「ジーンサイレンシング(遺伝子抑制)」は、ウイルス感染に対する防御機構のこと。
先日、京都大学の山中伸弥教授が、ノーベル医学生理学賞を受賞したという
嬉しいニュースがありましたが、2006年のノーベル医学生理学賞では、
「ジーンサイレンシング」に関連する「RNA干渉(RNAi)」を発見した
アンドリュー・Z・ファイアー博士とクレイグ・C・メロー博士が受賞しています。
手作りのウイルスの模型を使って説明する西山さん
手作りのウイルスの模型を使って説明する西山さん
植物ウイルスと植物の防御機構(ジーンサイレンシング)の研究は、将来的に、農業や医療などへの応用が期待されています。

「身近な生物から学ぶことはたくさんあります」と西山さん。

生物について、科学的な知識を得ることは、自然と人間との関係をより深く考えることにもつながるかもしれません。

(2)【「美しさ」を科学する-数学×脳科学】

第2部の講師は、徳田悟さん(東京大学大学院 新領域創成科学研究科 複雑理工学専攻 修士課程1年)と越石翔子さん(東京理科大学 理工学部 数学科2年)。

数学や脳科学の視点から、「美しさ」を考える内容です。
デンマークの天文学者ティコ・ブラーエ、
その助手で、天体の運行に関する法則を見出したヨハネス・ケプラー、
ケプラーの法則を土台として万有引力を発見したイギリスの物理学者・数学者・天文学者のアイザック・ニュートン、

彼らに共通するのは、
「実験や観測から得られた情報を元に法則性を発見」したことにあります。

「科学とは、美しいと思う心から生まれたものです。
彼らも、それぞれが美しいと思ったものを研究対象にしたのではないでしょうか」
と語る徳田さん。

また、パルテノン神殿・パリの凱旋門・ダビデ像・ミロのヴィーナスなど、
美しい建造物や美術品には、数学的な「黄金比」が関連しているそうです。

越石さんは、黄金比と関連する「フィボナッチ数列」(※1)についてクイズを交えて説明。
フィボナッチ数列は、自然界とも縁が深く
たとえば、ヒマワリの花びらの枚数や種の配列にも現れています。

(調べてみると、他にも、様々な花の花びらの数・松ぼっくり・木の枝分かれ・カタツムリの渦巻きなどが、フィボナッチ数列に対応しています。)

自然界のものが、「美しさ」に関連する規則性を持っているということに、
不思議さと面白さを感じます。
上記以外にも様々な興味深い話があり、
約30名の参加者は、サイエンスカフェを楽しんでいる様子でした。

今回のサイエンスカフェでは、
「バイオミメティクス」「ジーンサイレンシング」「フィボナッチ数列」など、
耳慣れない言葉も出てきましたが、
実は、どれもが私たちの生活に関連しているものだということがわかりました。

今まで気づかずに見過ごしてきたものを、
改めて見直すことが「科学」につながるのかもしれません。

柏の葉サイエンスエデュケーションラボは、
12月8日(土)にも「クリスマスサイエンスフェスティバル2012 in 柏の葉」として、
柏の葉キャンパス駅周辺で、様々なイベントを企画しています。

(詳細はKSELのHPをご参照ください。)
「子ども科学教室」、「Cooking de Science」、「科学者によるクリスマスコンサート」など
イベント盛りだくさんです。

クリスマスの時期に、ぜひ「科学」を楽しんでみてはいかがでしょうか。

※1 フィボナッチ数列
中世イタリアの数学者レオナルド・ダ・ピサ(フィボナッチはボナッチの息子という意味の愛称)が著書『算術の書』で紹介したもの。
フィボナッチ数列は、「1,1,2,3,5,8,13,21,34,55,89,144,233・・・」と、
3項目以降、それぞれの項が手前の2つの項の数の和になっている。


柏の葉サイエンスエデュケーションラボ(KSEL)のホームページ
薔薇の花びらにも、フィボナッチ数列の「5」「8」を見出すことができます
薔薇の花びらにも、フィボナッチ数列の「5」「8」を見出すことができます
プロフィール:柏木じゅん子

柏に15年以上在住しているライターです。
今まで、柏市内の商店街や市役所関連の記事を書く中で、
柏の素敵なお店や人たちに出会ってきました。
「まいぷれ柏」でも、柏の魅力をお伝えしていきたいと思います。

ブログ
http://ameblo.jp/oak-archives/